俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 使用は十四時からと聞いているのに、まだ十三時半だ。いくらなんでも早すぎないだろうか。
 慌てて顔を上げた優羽の前には、驚いている城ヶ崎の姿があった。

 今は優羽の彼氏ではない。来客なのだ。
 優羽は丁寧に頭を下げた。

「申し訳ございません。アポイントは十四時からと伺っていたものですから」
「いや。こちらが準備のために早く来すぎてしまったので。どうぞ気にしないでください」
 優羽の対応に笑顔で城ヶ崎は答える。

「城ヶ崎先生、お飲み物はご用意させていただいてよろしいですか?」
 コンシェルジュは城ヶ崎に笑顔を向ける。

「いえ。それは皆さまお集まりになってからで。私は、資料の準備等があるので」
「承知いたしました」
 コンシェルジュは丁寧にお辞儀をして部屋を出ていった。

 優羽がてきぱきとプロジェクターの準備をしていると、城ヶ崎がバッグからパソコンを取り出した。
「すみません、モニター用のケーブルをお借りして構わないですか?」
「あ! こちらです」

 優羽はケーブルを渡すが、どうにも顔が熱い。ケーブルを渡したその手をきゅっと握られた。
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