俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 優羽は城ケ崎の意図が読めないし、どうしたらいいのか分からなくて、戸惑うばかりなのだが、城ケ崎はそんなことは気にしないでテキパキと話を進めてしまう。

「こちらはいかがでしょうか? 名門ワイナリーで栽培されたモスカート・ビアンコ種のみを使用しており、口当たりものど越しもマイルドです。女性の方にもおすすめです」

「うん。それでお願いします」
 こなれたやり取りは城ヶ崎がこういったところにも慣れている気配を感じさせた。エスコートに慣れている。

 レストランの中はうっすらと暗くて、テーブルの上にはキャンドルの炎がゆらゆらと揺れている。
 全面が大きな窓からは外の夜景がキラキラと光って見えていた。

 各テーブルの間は離れているので、話し声のようなさざめきは聞こえるけれど、何を話しているかまでは分からなくて、全体的に落ち着いた雰囲気だ。
 とても良い雰囲気の良いレストランだった。

「すごく、素敵なレストランね」
「ああ、この前顧問先の人が連れてきてくれて。料理も美味しかったぞ」

 改めて城ヶ崎を見る。学生のときから確かに綺麗な顔立ちをしていたけれど、今はさらに凛々しさが増し、大人として重責のある職についている人の矜恃のようなものが見える。
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