俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「こっち」
 そう言って柴崎は優羽の手を引いて、エレベーター横にある非常階段へと優羽を引っ張ってゆく。

 交際していた時はこういう強引なところもきらいではなかったけれど、今はなぜこんなことをされなくてはいけないのか、訳が分からない。

「ちょ……柴崎さんっ、離してください」
「話すだけだよ」

 業務中の非常階段はあまり人通りもなく、静かだ。
 優羽は柴崎の握る手を離し、ぎゅっと自分の腕を強く掴んだ。

「なんですか?」
「他人行儀だな」
「だって、今は他人です」
「次のオトコを見つけたから?」

 その言葉を聞いて優羽は背中がぞっとした。
 次のオトコなんて言い方をされたくない。
 そうかもしれないけど、そんなことを口にしている柴崎は優羽と別の女性を二股かけていたのだ。

「イケメンなんだって?」
 そう言って柴崎は優羽を壁に追い詰める。そのまま壁に腕を突かれた。いわゆる壁ドンな状態だ。
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