俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「へぇ? 優羽、そんな顔できんの?」
「そんな顔って……」
「恥ずかしそうで、一途そうでまっすぐな顔だよ」

 優羽はキッと目の前の柴崎を睨みつける。言葉の一つ一つがいとわしく感じた。
「そんなこと言わないで」

 優羽が柴崎に恋をしていた時は甘やかな気持ちになっていたし、一途に好きだったのだ。
 それを裏切ったのは柴崎の方なのに。

「用がないなら戻るわ」
 目の前の柴崎の身体を軽く押して、優羽はその場を離れようとした。なのに、柴崎は優羽の手を握る。

「離して?」
「あんな奴やめろよ」
 そんなことを言い出すとは思わなくて、優羽は驚いて動きを止める。それをどのように勘違いしたものか、柴崎は言葉をさらに重ねた。

「また優羽と付き合いたい」
「な……」
 何を言い出すんだろう? 噂になっていると言ったり、付き合いたいと言ったり、一体どういう感情で言っているのかと思うと、優羽の心の中は不信感でいっぱいで言葉に詰まってしまう。

「なぜそんなことを言うの? お嬢様とお付き合いされてるんでしょう?」
< 165 / 284 >

この作品をシェア

pagetop