俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「ん? 過呼吸を起こすほどの不安ってなにがあった?」
 城ヶ崎の胸の中はひどく安心する場所で、その温かさに包まれて、優羽は口を開く。

「エレベータの前で、偶然柴崎さんに会ったわ」
「元カレか?」
 こくりと優羽は頷く。

「また付き合いたいと言われたの。もちろん断ったんだけど、この前のロビーでのことが噂になっていると言われて、そんなに優秀な人は遊びなんだって、遊びなら自分でもいいだろうと言われて、とても怖かった。だって彼女がいるのに」
 ぎゅっと強く抱きしめられる。

「遊びなわけないだろう。どれほど真剣か。優羽は知っているよな?」
 腕の中でこくこくっと優羽は一生懸命頷いた。

「知ってる」
「俺の気持ちを疑ったわけじゃないな?」
 それにはつい優羽もくすくす笑ってしまった。

「疑ってないわよ」
「それならいい。こうやって優羽を抱きしめるのは俺だけだ」
 その声はとても強くて優しくて、優羽を包み込む腕はいつも力強くて温かい。
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