俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 それが色気とも組み合わさっていて控えめに言っても本当に魅力のある人だ。

「いつもこんなところで食べているの?」
 優羽がそう聞くと、城ヶ崎は一瞬きょとんとして笑った。

「……なわけないだろう。たまたま連れてきてもらって、俺も二回目だよ。いい雰囲気だったから、吉野を連れてきたら喜ぶかと思ったんだ」
 城ケ崎が何を考えているか分からない。

 なにせ暴行で訴えるなどと物騒なことを言われてここまで連れてこられたのだ。なのに喜ぶと思ったとはどういう意味なのだろうか。

「あの……」
「ん?」
「けが、とかしちゃった?」
 城ケ崎がふっと笑う。

「けがをしなくても暴行に当たることはある。例えば、言い合いになって相手の胸倉をつかんだらそれだけでも暴行に該当したりするからな。けがをさせたら刑法204条の傷害罪に当たる。刑事事件だよ。姫宮商事って一流企業だよね。もし、被告になんかなったらどうなるの?」

「何らかの処分はあると思うわ。辞職か、異動か……」
「処分を受けたくはないよね?」

 想像したくないのに、つい想像してしまった。
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