俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「大丈夫だ。安心してこうやって腕の中にいていいから」
 ぎゅっと優羽は手を城ヶ崎の背中に回す。二人の体温が密着してさらに温かい気持ちになった。
「うん。ありがとう」

 ◇ ◇ ◇

 そんなことがあった数日後のことだ。
「城ヶ崎先生」
 姫宮商事で担当部署との打ち合わせを終えて、帰ろうとした城ヶ崎は法務部の女性に呼び止められた。
 いつも書類などの受け渡しをしているので面識はある。

「はい?」
「あの……少々お時間を頂けますか?」
 その時点では業務とプライベートと半々だな、と城ヶ崎は思っていた。

「どうされましたか?」
 エレベーター前のホールで足を止める。女性が城ヶ崎の前に立った。

「今度、お食事にお誘いしてもいいですか?」
 女性は上目遣いに城ヶ崎に尋ねる。綺麗に施されたメイクと派手な雰囲気。学生の頃から城ヶ崎はこの手の女性に声をかけられることが多かった。

 ちやほやとされている彼女たちは自分こそが城ヶ崎にふさわしいと思うらしい。
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