俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 だからこそ、あの写真展の招待状が来たのだから。
 それだって、本当は叔父が行くはずだったのだ。それを城ヶ崎に押し付けておいて、今更何を言っているのか。

「大体、あの写真展、本当なら叔父さんが行くはずだったんでしょう? それを俺に押し付けておいて……」
 城ヶ崎は遠慮なくあきれた視線を飛ばした。

 休憩時間となったので、今は所長と雇われ弁護士ではなく、叔父と甥だ。
「ははは、そうだったか?」
「忘れたとは言わせません」

「ずるいなー。北山先生にはご披露して私には見せてくれないのか?」
 叔父にはこういうところがある。にっこり笑って人を操るところだ。少し考えて城ヶ崎は片桐に笑顔を向けた。

「そんなに会いたいならご紹介しますよ」
 さらっと城ヶ崎が言うと、片桐は嬉しそうな表情を隠しもしない。
「え? 本当に!?」

「一つだけ条件がありますがね」
「高くつきそうだなぁ」

 そうして話し出した城ヶ崎から話を聞いている間、片桐は特に顔色を変えることはなかった。
 話し終わった後も表情は変わらないままだった。だいたい他人に気持ちを読ませるような人ではないのだ。
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