俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 この時も叔父に「優秀なんだから、そのままカリフォルニアの弁護士資格取ってきてね」と笑顔で送り出されたものだ。

 正直選択肢はなかった。
 アメリカでは弁護士資格は州ごとで受験する。その中でカリフォルニア州の資格を取れ、というのはそこに多くの企業が籍を置いているからだ。

 海外との契約で主になるのはライセンス契約で、そのライセンスを保有している企業がいちばん多いのはニューヨーク、ついでサンフランシスコだろう。州の弁護士資格は一年ほどで取得できる。

 特に最近ではITで何かしようとするとライセンス契約が必須だ。一般的にライセンスを販売している場合もあるが、企業が使用するライセンスは一般的には発売していなくて、使用するために契約を交わすことが必要なケースも多い。

 その場合、もちろん英語ができる日本の弁護士でも対応は可能だし、経験さえあればできることではあるが、現地の弁護士資格があれば大手企業とも取引が可能だ。

 現地の弁護士資格があるということは商取引においてかなり有利なのだ。

 頭脳と体力にものを言わせて、城ヶ崎はアメリカでもきっちり資格を取ってきた。
 真面目でもあるが、城ヶ崎自身、恵まれた環境にあることは重々承知している。
< 181 / 284 >

この作品をシェア

pagetop