俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 別れたあとになにかあったということだろうか。
「会えますか?」
『お仕事は大丈夫ですか?』

 城ケ崎の仕事のことにまで気を配ってくれる藤井は本当に素晴らしいと思う。焦る気持ちを抑えて、城ケ崎はお礼を言った。

「気を遣ってくださってありがとうございます。でも、彼女より大事なものはない」
『ご案内します』

 救護室までは藤井が案内してくれた。ベッドに寝かされている優羽は真っ白な顔色で目を閉じている。

 それを見た城ヶ崎は胸が潰れそうだった。医師からは今は落ち着いているから大丈夫だと説明を受けたけれど、ここまでストレスをかけたものを絶対に許さないと強く思う。

 目を覚ました優羽に原因が例の元カレだと聞いて、どうしてやろうかと思っていた矢先に、社内で心無い噂を振り撒いているのもその男だという情報を入手した。
 ──もう、俺が我慢なんてする必要ないよなぁ?

 叔父である所長からも、クライアントに迷惑さえかけなければ何をしてもいいと許可は得た。
 片桐が聞いたら「いや、なにをしてもいいとまでは言っていない」と言いそうなのだが。
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