俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「総務部の吉野さん、ご存じですね?」
「はい」
「個人的なお付き合いがありましたか?」
「まあ……。それはプライベートです」

「そうですね。ただ、社内でハラスメントが行われたとすれば、話は別です」
「ハラスメント!? なんのことです!?」

 思わず席から腰を浮かしかけた柴崎に座るよう部長は促す。城ヶ崎という弁護士はちらりと柴崎を見たが、その目が驚くほどに冷酷だったことに柴崎はぞっとした。
(一体何なんだ?) 

「先日、非常階段に吉野さんを連れて行ったのはどういうことですか?」

「彼女が話があると言ったからですよ。部長が先ほどおっしゃったように彼女とはお付き合いがありましたが、別れたんです。今は別でお付き合いしている人がいますが、彼女が僕とまた交際したいと言うので。その話でした」

「ふうん……つまり彼女の方から話があると言われた?」
「ええ。それはプライベートなことなのでこれ以上はお答えしません」

 弁護士からひやりとした空気が流れてきて、柴崎はだんだんイライラしてきた。ヒアリングの意味も分からないし、城ヶ崎とかいう弁護士はやたらに表情がない。同席している意味も不明だ。
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