俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「どういうことですかね?」

 城ヶ崎は部長を見て、口をつぐむ。部長は口を開いた。
「先日、吉野さんが倒れました」
「へえ? 知りませんでしたよ」
「柴崎さんが非常階段にお連れになったあとです」

「は!? そんなの関係ない……!」
「連れて行ったのは認めるんだな?」
「先生」
 部長に制されて、城ヶ崎は黙った。

「倒れたのは過呼吸です。原因を究明するよう社内で指示があり、エレベーター前の防犯カメラが開示されました。ご存じないかもしれませんが、防犯カメラの開示には社長決裁が必要です。つまり、役員も開示が必要だと判断した上で、一部の役職員でカメラ画像を確認しました。その画像には柴崎さんが強引に吉野さんの手を引いて非常階段に連れ込む様子が映っていました」

「なっ……」
 そんなものが出てくるとは思っていなかったのだろう。柴崎は顔色をなくして言葉を失う。
「暴行だ」
 低い城ヶ崎の声に柴崎は声を荒げた。

「分かった! 顧問弁護士とか言ったな! お前が新しい優羽のオトコなんだろう! お前こそ職権乱用じゃないのか! 利益相反じゃないのかよ!」
 顔立ちが整っているだけにすべての表情を消した城ヶ崎はひどく酷薄に見える。
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