俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 城ヶ崎は柴崎を真正面から見つめて淡々と言った。
「職権乱用? 利益相反? 意味を理解してから使っていただきたい。私はこの会社の顧問弁護士で、依頼人はあくまで姫宮商事です。吉野さんでもないしあなたの依頼人でもない。弁護士を付けたいならご自身でお付けになることです。あ、私には依頼しないでくださいね。利益相反になるので」

 絶対に依頼なんてすることはないと分かっていながら、一言付け加えることに柴崎はことさら腹が立つ。目の前の城ヶ崎はひやりとした目で柴崎を見た。

「人事部長と私がここに一緒にいる意味を考えられた方がいい。まあ、記憶力に関しては相当に弱いようですけれど。連れ込まれたか連れ込んだかも覚えていないようですから」

「なんだと!」
 席を立ちあがった柴崎に部長が鋭い声を上げる。
「柴崎さん!」
 部長の声を聞いて柴崎はしぶしぶ着席する。

「城ヶ崎先生には弊社からお願いして、この場にいていただいています。それは後の処分が不当人事だと判断されないためです」

「処分……」
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