俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 デスクの前から立ち上がった城ケ崎はものすごい早足でドアの前まで来て優羽の肩に触れた。
「こっち来て」

「紹介してくれると言ったよな?」
 その場に響いたのは片桐の声だ。

 にっこり笑った片桐に城ヶ崎はぎりっと歯ぎしりして冒頭のような状況になったわけである。

 それでもにらみ合いをしていても仕方がないと思ったのか、城ケ崎は優羽の肩を軽く抱いて執務用の部屋の中に入れてくれて、秘書の人にインターフォンでコーヒーまで頼んでいた。

 執務室の中は入ってすぐのところにソファセットが置いてあり、優羽は打合せで使うんだろうなと漠然と考えて、城ヶ崎に勧められるまま隣の席に座った。

 シンプルなデザインでとてもモダンなテーブルとソファだ。
「吉野さん、このテーブル重厚だけど、飾り一つ置いてなくて不愛想だと思わない?」

 シンプルなところが城ヶ崎らしいと思ったので不愛想だとは思わなかったが、優羽は軽く首を傾げる。
「テーブルの上になにか置いてるとね、もめたときに凶器になるといけないから置いていないんだよね」

 ──こ、怖い! けど、納得だわ。
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