俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 けれど、動きが止まってしまったのは優羽の方だ。驚いてしまって片桐が部屋を出ていくのにあわてて頭を下げたのがやっとだった。
(今、なんて言ったの? 渡米……?)

「渡米……?」
「ああ、仕事でアメリカに行かなきゃいけない」
 城ヶ崎は緩く髪をかき上げ、ため息をついた。

「優羽と離れるのは憂鬱だな。優羽、一緒に来る?」
「え?」

 驚いたけれど、優羽は少し考えてみた。すぐに回答を出すことはできないけれど、二人のことを二人で考えていくことは必要なことだ。

「いつからなの?」
「い……つからって、優羽、もし一緒に来てって言ったら来てくれるってことか?」

 優羽は一生懸命考えて今心に思っていることを言葉にする。
「離れたくないって気持ちはすごく分かるの。私も驚いたから。でも、もし本当に昂希くんと離れなくちゃいけないっていうのなら、真剣に考えるわ」

「優羽……」
 城ヶ崎は優羽を抱き寄せる。
「俺も側にいてほしい。少しでも離れたくないよ。本当は」
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