俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 本当は一瞬たりとも離れたくないが本音だが、そう優羽に言われて、しぶしぶ城ヶ崎は優羽を離す。

 そんな城ヶ崎にくすくす笑う優羽でさえ、愛おしい。

「じゃあ、着替えたらダイニングに来てね」
 確かに言う通り優羽はどこにも行かない。今日はここにいてくれるだろう。

「すぐ行く」
 優羽にそう言って城ヶ崎は寝室のウォークインクローゼットに入り、ジャケットをハンガーに掛け、軽くブラシしてから、シャツを脱ぐ。

 着替えている間に城ヶ崎が考えていたことは絶対に優羽を手放したくないということだ。
 自分の執着心の強さも、ここぞという時に自分の全ての力を使いたがることも分かっている。

 ただ一つだけ怖いのは、自分はそれで良いけれど、この意志の強さで優羽を縛り付けたり優羽の自由を奪ってしまうことだ。

 それだけはしたくない。優羽には自分の意思で城ヶ崎を選び取ってほしいのだ。

 強い感情にさらされていても、どこか冷静になることができるのが城ヶ崎なのだった。

 ◇◇◇

 一旦、寝室の方に着替えに行った城ヶ崎がひょいっとキッチンに顔をだしたので、優羽は驚く。部屋着のパーカーとジャージ姿は高校の時の放課後を思い出させて、ちょっとどきどきしてしまった。
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