俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 これくらいと城ケ崎は言うが、優羽のお給料ならばランチ何回分なのだろうか?という金額である。もっと膨大な金額を請求するからいい、ということなのかもしれないと思いつくと、優羽はつい通帳の預金残高を想像して血の気が引いた。

(すごく膨大な金額を請求されたら払えない!)
 城ケ崎ならそれも可能な気がするのだ。レストランを出て、その場に優羽は立ち尽くす。

「優羽? どうだった?」
「うん。とても美味しかった……かな?」
 最後の晩餐かもしれない。

「俺、優羽とまだゆっくり話したいんだけどいいかな?」
 その笑顔に逆らえるわけがなかった。

「うん……」
 そうして優羽が城ケ崎に連れていかれたのは、レストランが入っているホテルのロビーだ。
「ここで待ってて」と言われて、ロビーのソファに優羽は座る。

 すらりとして、姿勢もよく美しい城ケ崎の後ろ姿を見送っていると、レセプションに向かっていく。城ヶ崎に合わせて視線が動くのが離れたところから見ていた優羽にも分かった。
 ロビーの中を歩いているだけで注目を浴びるような人だ。

 城ヶ崎はチェックインしたらしく、カードキーを手にして戻ってくるのが見えた。
< 23 / 284 >

この作品をシェア

pagetop