俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 きっと愛情深いからこそ、懐に入れる人を厳選している。手の中にあるものは大事にする性格ゆえに全ては護れないことが分かっているからだ。責任感の強い城ヶ崎らしいとも優羽は思う。

 会社の隣の席にいる藤井の様子を優羽は確認した。
(この子も私がいなくてもきっと大丈夫)

 テキパキと仕事を進めるのは安心して見ていられる。優羽のその目線に藤井が気付いた。

「あれ? 私なにかやらかしました?」
「ううん。大丈夫」

「吉野さん、体調悪いですか? 最近、なんだかお悩み顔ですよね。一緒にランチとか行きます?」

 そう言われて、確かに最近ゆっくり藤井と話せていないかも、と優羽は笑顔を向けた。

「そうね、一緒に行きましょうか」
「はいっ」
 藤井は嬉しそうな笑顔になる。

 ビルの中にはメインディッシュをサラダにしているサラダ専門店がある。

 そこに行こうと打ち合わせて、お昼の時間まで業務を進めた。
 仕事をしている藤井には入社してすぐの頃のような不安げな頼りなさはない。
< 241 / 284 >

この作品をシェア

pagetop