俺様弁護士は激愛を貫きとおす

「おこがましくなんかないですよ！　いえ、会社だって吉野さんの代わりはいません！　それは声を大にして言いたいです」

　藤井がとても真剣な顔と声で優羽にそう言う。優羽は笑顔を向けた。

「ふふっ、ありがとう」
「どんな形になっても応援します。吉野さんは私の会社での先輩ではありますけど、私にとってそれだけの人ではないので」

　それは優羽にとってもそうなのかもしれない。だからこそ、今日藤井に話す気になったのだから。
「それは、私にとってもそうだよ」

「私もおこがましいかもしれませんが、吉野さんが後悔しないようにしてほしいです。それは……本当は、ずっと会社にいてほしいですけど……。それって私だけが思ってることじゃないですよ、きっと」

　そんなふうに言ってもらえる価値が自分にあるかまでは分からなかったけれど、藤井の言葉はとても嬉しかった。
「ありがとうね」

　――後悔のないように。
　それはきっと優羽のことを思ってくれる誰もが願うことだろう。