俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 城ケ崎は手にしていたコートを入口のラックに掛けた。優羽の分も掛けてくれる。どうぞと言われたソファに優羽は座った。

 部屋の中を城ケ崎が歩くのすら胸がどきどきする。
 もちろん交際はしたことはあるけれど、それでもこんなに色気にあふれた人と接点を持ったことはない。

 会社にも、営業部や海外事業部などの部署によってはいわゆるイケイケ系の男性もいるらしいが、優羽のいる総務部の男性は比較的年齢層も高めでおっとりとした男性が多いのだ。

 城ケ崎はゆっくりとソファに座り、長い足を組んだ。
「優羽、この前のこと、どれくらい覚えている?」

 あの日のことを優羽は一生懸命思い出す。
「お店を出たところまではなんとなく……。タクシーに乗せてくれた? その辺から覚えてないわ……」

「じゃあ、夜のことは本当に覚えてないのか?」
 こく……と優羽は頷いた。

 軽いため息の音が聞こえてくる。
「そうか……」
「でも、した……よね?」
「そうだな」

 優羽からは手を組んだ城ケ崎の姿が見えた。
 それにひどくドキンとしてしまう。すらりとしていて男性らしい指だ。あの日、この指が優羽の肌を辿ったのだろうか。

 そう思うと急に鼓動が大きくなってきてしまった。


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