俺様弁護士は激愛を貫きとおす
『おーいっ! 優羽?』
 パソコンから声が聞こえて、優羽は慌てて時計を見た。夢中になっていたら今度は時間を忘れてしまったようだ。

「はぁいっ! 今出ます!」
 画面の向こうの城ヶ崎はすでにシャツ姿で、あとはジャケットを羽織ればそのまま仕事に行けそうな雰囲気だ。

 一方で優羽はメイクも落としてしまって、しかも片付けをしていたので、髪まで結んで完全にリラックス状態だ。
 優羽はそっと髪をとめていたバレッタを外して、ささっと前髪を整えた。それを見た城ヶ崎が笑っている。

『珍しいな、優羽がそんな姿なの。レアなものを見られて嬉しいが』
 ばっちり決まっている城ヶ崎にそんなことを言われるとなんとも言えない気分になる。

「違うの。ちょっと……お部屋の中を整理していて」
『ふぅん? それって引越しも考えて?』
 さすがに城ヶ崎にはすぐにバレてしまう。

「うん」
 そう返事して、こくっと優羽は頷いた。
『なんでこんな時にそばにいないんだ』

 ふっと城ヶ崎が画面に向かって手を伸ばしたので、きっとむこうの画面に映っている優羽の顔を撫でたのだろうと思うと、優羽の顔が赤くなる。

 その表情も仕草もいつも甘くて本当に嬉しいけれど、困ってしまう。



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