俺様弁護士は激愛を貫きとおす
『そうか……。実を言えば優羽が俺の家にいないので、拗ねていたところだった』
「え? そうなの?」

 画面越しの城ヶ崎が苦笑している。
『でも片付けをしていたと聞いて、すぐ機嫌は直ったけどな。優羽、ちゃんと俺とのことを考えてくれているんだな』

 つい顔が赤くなるのを自覚する。
 それはその通りだからだ。

「それは……そうよ」
『俺も優羽のとのことを考えてる。帰ったら……約束覚えてるな?』

 殊更に甘い声。
 プロポーズをする、と言われていた。なぜ言われている側の優羽の方がこんなに恥ずかしくなってしまうんだろう。

「あんまり言わないで」
『ん? どうして?』
「緊張しちゃうもの」

 ふっ、と軽く笑った声が聞こえる。
『それって逆だろう? 俺の方が緊張するんじゃないの?』

 ものすごく楽しそうな声。
 そうなのだ。城ヶ崎は優羽を弄る時はどんなときも心から楽しそうなのだ。

「昂希くんはそうやって自分でハードルを上げてもプレッシャーをかけても強くて本当に羨ましい」
< 260 / 284 >

この作品をシェア

pagetop