俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 それでも責任感の強い優羽は言われるがままに目を閉じた。
 城ヶ崎に逆らおうなんて思っていない。

『画面の前で脱いでみせろと言っても無理だろう?』
 声に淫靡さが混じる。優羽は今度は違う意味でどきどきしてきた。

「それは無理」
『だから、服の上からでいい。触って?』
「どこ……に?」

『俺の手順、覚えてない? 胸元、触って。先端は触れるなよ。周りだけ、そうっと優しく』
 目を閉じているので視界は暗くてイヤホンを付けた声だけが耳元で響く。

 低くて甘い、優羽の好きな声だ。
 それだけでもくらくらするのに、城ヶ崎は優羽に自分で自分に触れろと言っているのだ。

『俺しか見てないんだ。優羽、俺の声を聞けよ。俺の声だけを聞いて。服の上からでいい。自分の手を俺の手だと思って。柔らかい優羽の肌、触りたいから代わりに触って』

 そんなふうに言われたら自分の肌に触れるのにまるで自分ではないようで、そっと触れた身体がいつも城ヶ崎に触れられている時のようにぴくん、と揺れてしまった。

 優羽は自分があまり性欲が強い方ではないと思っている。
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