俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 決算はある意味ルーティンワークでもある。特にトラブルも発生していないし実際にここにいるメンバーだけでも処理は可能だ。
「すみません。よろしくお願いします」

 優羽は頭を下げて、私物のバッグをキャビネから取り出す。優羽だって城ヶ崎を真っ先に出迎えてあげたいのだ。

 ここはメンバーに甘えて空港へ向かうことにした。
 姫宮商事ビルがあるのはターミナル駅だが、そこから空港に向かうには乗り換えをしなくてはいけない。

 普段使わない電車を経由しながら優羽は落ち着かない気持ちだった。

 電車の窓から見る景色も違う。途中駅から乗ってくる人たちはこれから旅行にでも行くのだろう。大きなキャリーバッグを転がしながら電車に乗ってくる。

 好きな人と一緒に楽しむため旅に出る人も、大事な人と会うために出掛ける人も、そして優羽のように大好きな人を迎えに行く人もいるだろう。
 その電車の中は普段の通勤電車とは全く違う雰囲気なのだった。

 空港ターミナル駅に到着して電車を降り、優羽は腕時計を見る。到着まではあと十分程度だ。
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