俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 本当だろうか? なんとなく言いたいことは分かる気もするが、城ヶ崎が無理していないかは少し心配だ。

 家に帰ってきてからもテーブルにパソコンやノートを開いて、メモを広げて難しい顔をしていることも多い。

「昂希くん、お茶はどう?」
「コーヒーは止めておく。この時間だし」
「ほうじ茶はどう?」
「ほうじ茶?」
 城ヶ崎は不思議そうな顔をしていた。

「カフェインはコーヒーよりかなり少ないし、ほうじ茶というくらいだから焙じてあるの。香りがあるからコーヒーみたいに気持ちが落ち着く効果があるのよ。あ、私の場合はなんだけど」

 書類を確認する手を止めて、心配そうに顔を覗き込んだ優羽の頬を城ヶ崎が指の背でそっと撫でる。

「じゃあ、それをもらう。悪いな、心配させて。今までは顧問先の業務が多かったんだが、急遽刑事事件を引き受けることになって。慣れていないから少し大変なんだ」

 優羽が覗き込んだ城ヶ崎の顔が珍しく疲れている。それは慣れていない案件を受けているからなのかも知れなかった。
「刑事事件……」
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