俺様弁護士は激愛を貫きとおす
『商業イベント』そう切って捨てたからにはその日のディナーなどはないだろうな、とクリスマスイブ当日、優羽は仕事を優先することにした。

 年内の勤務時間はあと四日なのだから、普段の四半期よりも年末は余裕がない。
 それでもネームが入りましたと連絡のあったボールペンは昨日取りに行ってきた。

 綺麗にラッピングされたものを念の為持ってきてはいる。チャンスがあれば渡したいのには間違いがないからだ。

「え? 社外用と社内用が間違ってた?」
 それは秘書課からの連絡で、社長の年始挨拶の原稿を誤って渡してしまったという連絡だった。
『本当にすみません、吉野さん!』

 社内用はテキストを入れ替えればいいが、社外用のものはお詫びを添えて、原稿の差し替えをお願いしなくてはいけない。

 秘書課も年末年始は忙しく、時間外のこんな18時過ぎに連絡があったことからも、彼女たちも残業して対応しているのだということは分かる。

「承知しました。メールでお願いしてみます」
『私たちも何社かには差し替えをお願いしていますので』
< 278 / 284 >

この作品をシェア

pagetop