俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 何度も柔らかく軽く触れるだけの唇が重なる。
 優羽は思わず目を閉じて空いていた方の手で城ヶ崎のスーツの襟をきゅうっと握ってしまった。
 目を閉じてしまったことでさらに唇の感触を感じる。

 それは重ねる、と言うよりも唇で味わっているように感じた。触れ合う感触、お互いの熱、だんだん乱れていく呼吸。

 それをキスで感じ取られている。
 とても、官能的なキスだった。
 ちゅ……と音がして優羽はドキンとする。

「城ヶ崎……くん……」
「ん?」
 しがみついていないと蕩けてしまいそうだ。
 どうしてこんなに甘いキスをするんだろう。
 柔らかくて、優羽しか見ていないというような顔で見るんだろう?

「そんな可愛い顔で見たら、容赦できなくなるぞ?」
「許し……て?」

 それがあの日の朝のことなのか、それともこれから行われる行為のことなのか、優羽自身にも曖昧になっていた。

「絶対に……許さない……」
 城ヶ崎のそれもあの日のことなのか、これからのことなのか分からなかった。
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