俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 耳に注ぎ込まれる声があまりにも甘くて、優羽は震える。

 この先に進んだら帰れない。
 きっと囚われてはいけない。
「優羽、大丈夫。俺に溺れてしまえよ」

 戸惑いを見透かすかのように囁く声に優羽はくらりと目眩を起こしそうになった。

 城ヶ崎のキスは甘い。
 切れ長の目が優羽を捕らえるように妖艶に見つめて、その綺麗な形の唇が何度も優羽の唇をついばむ。
 開けろと言うように結んでいる優羽の唇をそっとその舌でくすぐられた。

 だんだん呼吸もままならなくなって、息継ぎしたくて、ふと開けた口の中に遠慮なく舌が差し込まれた。
 その瞬間強く抱きしめられた。

 逞しくて大きな胸の中でぎゅうっと抱かれて、貪られるようにするキスは官能的としか言いようのないものだった。

 やっと離してもらった時には息も絶え絶えだった。
 城ヶ崎は仕立ての良さそうなジャケットをかなぐり捨てるように脱いで、もどかしげにネクタイを首から外す。

 あらわになる首から鎖骨にかけてのラインがセクシーで目のやり場に困る。
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