俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 あふれんばかりどころか叩きつけられそうなくらいの色香に気を失いそうだ。

 あの日もこうだったの?
 剥き出しにされた欲情のようなものがまっすぐに優羽に向かってきて、あがらえなくてただ目を潤ませて城ヶ崎を見ることしかできないのだ。

 直接触れる首元や、ニットの下に入り込んでくる手が少しひんやりとしていて、ぞくんとする。とても丁寧に大事なものに触れるように動く指に翻弄される。

「この前、したのは本当だよ。だから今日は優羽の気持ちいいところにいっぱい触れてあげる」
 指先は少しひんやりとしていたのに、耳朶を食んでそっと舐めてくる舌の感触はひどく熱い。

 時折耳元に直接的に響く粘着質な音と、耳の形をなぞるかのようなその舌の熱さに、優羽はおかしくなりそうなほど、下肢がきゅうっとした。その部分が熱くなって、とろっとこぼれた気配さえ感じた気がした。

 自分の体温が一気に上がるのが分かる。
 今度はスーツを掴むわけにはいかなくて、優羽は枕をぎゅうっと掴んだ。

「優羽、俺は全部覚えてる。優羽が甘く声をあげるところも、堪えきれずに愛液をこぼしてしまうところも。優羽は忘れているだけだ。だから思い出させる」
「や……」
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