俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 急に待ち合わせなどと言われて優羽の声はつい警戒してしまったかもしれない。
『優羽、俺の言うことは聞いておいたほうがいいと思うぞ』
 そうなのだった。弱味を握られているのは間違いはない。

『土曜日の10時に駅前のカフェの前な』
 忙しいのかもしれないが、それだけ言うと城ヶ崎はさっさと電話を切ってしまった。

(全くもう、俺様なんだから……)
 テキパキと物事を進めていくのは城ヶ崎にリーダーシップがあるからだ。文句を言いながらもみんなそんなところを頼りにしていた。

 土曜日、どんな格好をして行けばいいのだろう?
 つい、そんなことを考えてしまう優羽は(違う! 違う! 会社に言われたら困るから!)と必死で打ち消していた。

 散々迷って、優羽はオフホワイトのニットとグレンチェックのスカートを選択する。それに黒の編み上げブーツを合わせた。
 コートを羽織って玄関の鏡で確認する。久々の友人と会う格好としては悪くないのではないだろうか。

 駅前まで行くとカフェの前に城ヶ崎はすでにいて、カフェの前に立っているのが離れた場所からでも分かった。
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