俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 チャコールグレーのチェスターコートと、黒のタートルネック、デニムのパンツと至ってシンプルな普通の服装なのだけれど、そのスタイルと端正な顔立ちが際立っていて、伏し目がちでスマートフォンを見ている姿すら、注目を浴びてしまっている。

「城ヶ崎くん」
 城ヶ崎が顔を上げて優羽を見つける。その嬉しそうな顔は心からのもののように思えた。

「優羽」
 とても甘く聞こえる声に優羽はどきっとしてしまう。
「どうしたの? 待ち合わせなんて」
「今日は優羽とデートしたくてね」
 きゅっと口角の上がる表情はご機嫌の証だ。
 そんなふうに言われたらちょっとくすぐったいような気持ちになる。

「デート?」
「そう。今日、優羽は俺の彼女」
 城ヶ崎は優羽の気持ちを振り回すのが本当に上手い。

 そんなことを言われたら、ただひたすらにドキドキしてしまうのに。
 城ヶ崎に連れていかれたのは高層ビルの中にあるギャラリーだった。

 そこでは写真展が開かれているらしく、城ヶ崎は招待状らしきものを持っていて受付で記帳もしていた。受付の女性とは知り合いでもあったようで、気さくに挨拶など交している。
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