俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 受付の女性が優羽に向かって頭を下げるのを優羽も曖昧に頭を下げて返した。

「優羽、待たせた」
「知り合い?」
「今回の主催者が知り合いなんだ」

 ギャラリーの中を二人で一緒に見て回る。写真は風景を撮影したものが主で、風景写真をメインに撮影している人のようだ。

「城ヶ崎くんにこんな趣味があったの、意外だな」
 城ヶ崎は夕焼けの写真の前で足を止めていた。そして、優羽の肩を引き寄せて耳元で囁く。
「あるわけないだろ」

 ん?どういうこと?
「なあ、今日は彼女だって言っただろ。名前で呼べよ。俺、彼女に苗字で呼ばれるのとか、いやなんだけど」

 周りが静かなので、城ヶ崎はひそひそと優羽の耳元で囁くようにそんなことを言う。
「まさか、名前を知らないってことはないよな?」

 もちろん知っている。
 周りのみんながほとんど『昂希』と名前で呼んでいるのだから。

 けど、そんなことを言われたことはなくて、ちらっと城ヶ崎の顔を見るとなんだか妙に楽しそうで絶対にからかわれているような気がする。
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