俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 ふわりとしていて、優しいのに頼りにされていた。

 本を読むことは本当に好きなようで、優羽は放課後も図書室によくいた。
 運動部が活動しているグラウンドから、図書室の窓際で本を読む優羽の姿が見えていたのだ。

 窓際で目を伏せて集中していたかと思うと、時折窓の外にぼうっと視線をやっていたりする。
 つい、そんな優羽の姿を練習の足を止めてみてしまったことが何度もある。

「城ヶ崎、お前も『窓際のお姫様』ファンか?」
「窓際のお姫様?」
「ふんわり系で読書が趣味で、時々グラウンドを見ていたりする風情がお姫様だって、ついたあだ名がそれ」
「なんだそれ」

 その時、まさに優羽がグラウンドの方を見ていたので、城ヶ崎はその胸がひどくドキドキしたことを覚えている。
 風がふわりと窓から入り、長いその髪を揺らして優羽はまた本の世界に戻っていった。
 その様子を時折盗み見たりしながら、こっちを見てくれないかと思ったものだ。

 けれど、そんなふうに思っていたのは城ヶ崎だけではなかったらしい。
 『窓際のお姫さま』は密かに運動部の人気者だった。
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