俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 華奢な指でグラスに手を触れている。綺麗な指先にはつい触れたくなってしまうけれど、突然そんなことをしたら怪しすぎるので、それはしなかった。

 けれど、優羽が飲んでいるものが妙に美味しそうに見えて、一口もらって飲んでしまう。
「あ……」
 少しだけ咎めるような声が聞こえたけれど、それは無視した。

 優羽らしい甘い飲み物。甘く感じたのはそれが甘いからか、優羽が口にしたものだったからか。

 けれどつい口から「甘……」と漏れてしまったら、山口に「人のやつを取り上げておいて何言ってるのよ」と咎められた。
 こんなに甘くて、酒とも言えないようなものを飲みながら優羽はふわりと頬を赤く染めている。

 その頬に触れたい。
 そんな気持ちを押し隠しながら三人で飲みながら話した。
 優羽が酔っていたのは分かっていた。
 それが心配だったことも間違いはない。

「吉野? 大丈夫か?」
「ん? んーへいきだよー」

「飲みすぎちゃったのね、優羽にしては珍しい。楽しかったのかもね」
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