俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「遅くまで吉野さんをお引き留めしてすみませんでした。失礼します」
 二人で後輩を見送ったあと、優羽は城ヶ崎に手を繋がれる。

「遅くまで大変だったな。メッセージを見る暇もないくらい夢中だったなら、腹も減っただろう? 飯でも行こう」

 突き刺すような瞳で見てきたり、今のようにこんなふうに穏やかに言われたら優羽はどうしたらいいのか分からなくなる。

 自分はどうしたいのか。城ヶ崎もどうしたいのか?
 今はただ繋がれたその指先が温かくて、繋いだ手のひらが包み込まれるようで、そのままでいたかった。

「ざっくばらんな店でいいか?」
「あ、うん」
 手を繋いだまま、城ヶ崎はタクシーに向かって手を上げ、優羽を先に乗せてくれる。車で10分くらいのところにその店はあった。

 外観からはカフェレストラン、と言った感じだ。
 ざっくばらんな店と城ヶ崎は言ったけれど、店の中に入ると広いフロアの真ん中に見上げるほど高い天井まで続くワインセラーがあるような店だった。

 店内のテーブルの間は広く取られていて、テーブルの上にはキャンドルが灯っている。
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