俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 絶対に優羽のことをからかって楽しんでいるだけなのだ。
 綺麗な顔で微笑むのが、どれだけ城ヶ崎が俺様に振舞ったって、優羽は絶対に嫌いになれなくて悔しい。

「回数を覚えてる?」
「八回。言い直した分はノーカンにしてやるよ」
 結構たくさんだった。絶対に動揺なんてしない人なのだ。

 優羽は軽く息を整えて城ヶ崎の肩にそっと手を添えた。城ヶ崎はその様子を楽しそうに見ている。
「本当にするの?」
「本当だよ。どうぞ」

 視線が絡んで強く見つめられると逃げることはできなかった。
 とても綺麗で端正なその顔にそうっと顔を近づける。柔らかく唇を重ねる。

 (一回……、二回)
 優羽は心の中で真面目に回数を数えて八回になったところで、顔を離した。

「八回、したわ」
 ちょっとドヤ顔になってしまったかもしれない。
 ──だって、頑張ったもの。
< 78 / 284 >

この作品をシェア

pagetop