俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「優羽、今のはカウント一回だよな? まさか、それで全部借りを返したなんて思っていないよな?」
「え?」

 目の前の美形は呆れたような顔になって優羽を見ていた。

「優羽、キスってのはこういうのだろう?」
 そう言って城ヶ崎は優羽の首の後ろに手を添えて自分の方に引き寄せたのだ。優羽が顔が近いと思った瞬間には唇が重ねられていた。

 軽く何度も触れ合って唇で甘く食まれる。与えるような奪うような触れ方で、この人のキスはどうしてこんなに官能的なんだろう。

 いつの間にか絡められている舌先さえ、優羽を溶かそうとしているかのようだ。
 気づいたらとろかされていて、息を継ぐだけでいっぱいいっぱいにさせられている。

「優羽、そんな顔をして見られたら我慢できなくなるんだが」
「我慢?」
 城ヶ崎の手が肌に触れ、優羽はハッとした。

 危うく流されてしまうところだった。城ヶ崎の胸元を優羽は両手でぐっと押す。

 この人に愛されたらとても幸せなんだろうということは分かる。
 でも気持ちが伴わないことは優羽にはつらいだけだ。優羽は城ヶ崎に好意を持っている。
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