俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 学生の頃から周りを魅了して止まない人だし、再会してからはなおさら、大人のしての魅力を身につけていて、その色香にも、振る舞いにも、一緒に時間を過ごす楽しさもとてもかけがえのないものだ。

 それでも、城ヶ崎の気持ちが見えないから、時折つらい。
 きっとからかっているだけ、こんな人が本気なわけない。だって『言うことを聞けばリークはしない』というから。

 どこまで優羽がついてこられるのか試しているだけなのかもしれない。
「なんだ?」
「もう、止めて」

 髪をかきあげた城ヶ崎は優羽がなにを言い出すのかという顔で見ていた。

 一緒にいれば楽しい。
 胸が高鳴るし、幸せにも思う。だからこそ、こんな歪んだ関係は良くない。
 優羽は強く思った。

 ──私、城ヶ崎くんが好きだわ。
 今度は胸がつかまれるようにぎゅっと痛む。
「暴行だって訴えても構わないし、会社に言っても構わない。もう、城ヶ崎くんとこういうこと、しない」

 あれが罪だというのなら、それでも構わなかった。
 それよりもこんな関係を続けることの方が優羽はつらかった。
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