俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「私がソファで休むわ。城ヶ崎くんは寝室を使って」
「そんなことできるか」

 頑なな顔していたんだろう。そんな優羽の顔を見て城ヶ崎は軽くため息をついた。

「分かった。ブランケットを持ってくる」
 優羽は城ヶ崎の部屋のリビングにある大きなソファの端にそっと腰掛けた。

 そして先ほどからのことを思い出して少しだけ涙がこぼれそうになってしまった。
 城ヶ崎が今親切にしてくれたのは、女の子である優羽を一人でこの時間に放り出すことはできないからだ。

 それだけの理由でそこに想いがあるわけではないのだから、思い上がってはいけない。

「ほら……」
 寝室からブランケットを取って戻ってきた城ヶ崎は優羽の肩にそっとかけてくれた。
 ふわふわで温かくて、少しだけ城ヶ崎の匂いが残っている。

 優羽はそれをくるりと巻いた。
 温かさとその香りに包まれると、ドキドキしたり、幸せだったり、安心したりするのに、心の距離はとても遠い。
 きっと優羽だけが気持ちを持っていて、城ヶ崎はなんとも思っていない。

「そんなんでいいのか?」
 こくりと優羽は頷く。自分で決めたことだった。
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