俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 なにかを押し殺したようなかみ殺したような表情で、城ヶ崎はリビングを後にする。

 その背中が優羽にはいつもよりも少しだけ小さく見えた。
 その温かさで自分を包み込んでも、優羽には寝られるような気はしなかった。

 少しだけうとうとしていたらしい。
 朝方、気づいたら優羽の横で腕を組んで、座ったまま城ヶ崎は目を閉じていた。

 一旦は寝室に行ったものの、優羽が心配になり、リビングに戻ってきたのかもしれなかった。

(本当は優しい人なのに……)
 あんな始まりでなければよかったのに。

 起きた優羽は自分のバッグの中から手帳を出しメモに『泊めてくれて、ありがとう』と書いて、そっと部屋を出た。

 ◇◇◇

 城ヶ崎は珍しく後悔していた。
 反省はしても後悔はしない主義だった。
 けれど優羽との件に関しては自分が間違っていた自覚はある。

 おそらく優羽は城ヶ崎のことなど、なんとも思ってはいなかった。
 なのに、無理やりあんなことをした上に、半ば脅すようにして、関係を続けようとした。
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