俺様弁護士は激愛を貫きとおす
『暴行だって訴えても構わないし、会社に言っても構わない』そう言ったときの優羽はまっすぐで、ひどく綺麗だった。

 優羽がキスをしてくれたから。
 それが城ヶ崎から出した条件だったとしても、優羽からのキスは本当に可愛くてありえないほど胸が高鳴ったのだ。

 なのに、怒らせてしまった。
 優羽が怒ったところなど高校の時も見たことがない。けれど絶対あれは怒っていたはずだ。

 それでも冷静なのが彼女らしいとまた魅力を感じてしまったが、それどころではない。
 これ以上、強引にすることは望ましくないと城ヶ崎は判断したのだ。

 だから、寝室からブランケットを持ってきて優羽に渡した。
 一旦は寝室に戻ったものの眠ることなどできなくて、城ヶ崎はリビングに戻った。

 優羽はリビングのソファで手すりを枕にしてすぅすぅ寝息を立てていた。
 安らか、と言うよりもうとうとしているだけのようだった。

 触れて目が覚めて、城ヶ崎に気づいたら今度こそ出ていってしまいそうな気がしたら、触れることもできなかった。触れかけて伸ばした手をぐっと拳にして堪える。
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