俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 結局城ヶ崎と静かな時間をすごしたのはその時だけで、それ以降はやはり接点のないまま卒業を迎えたのだ。

 ただ、賑やかにも華やかにも、そして静かにも過ごせる城ヶ崎はとても不思議な人だなという印象は優羽の中でずっと残っていた。

◇◇◇

 昨日、久々に見た城ヶ崎は相変わらず、端正で冴えた雰囲気の持ち主で、大人になった分、色気や自信も身についているようでさらに魅力的になっている気もする。

「急いで来たから熱い」
 とか言いながら、シャツの袖をまくってビールを飲んでいた。
 優羽も高校の頃の楽しかった話をしながら、友人と飲食を楽しんだ。


 城ヶ崎が優羽と早紀のいる席に来たのは、だいぶお酒も進んだ頃だったと思う。
 早紀と最近の話をしていた時だ。

 誰とでも仲良くなれるコミニュケーション能力の高い早紀は、先ほどから色んな人に声をかけられている。
 城ヶ崎もそのうちの一人なのだろう。
 時間の隔たりなんて感じさせないくらい、自然に声を掛けてきた。

「あー疲れた。吉野は何飲んでるの?」
「サングリア。あまりビールが得意じゃなくて……」
「可愛いもん飲んでるな。一口くれ」
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