俺様弁護士は激愛を貫きとおす
「悪かったよ。だから怒って優羽が家から出て行っても仕方なかったと思ってる。むしろそんなことを言った俺の方が脅迫罪に問われてもおかしくないことをしていた」

「し……信じらんないっ」
 あきれた。優秀な弁護士のはずなのに『リークはしない』は脅しだったのだ。

 もちろん冷静になれば優羽にも気づけたことだろうが、あの時の優羽はどうしよう!という気持ちがぐるぐるして、言うなればテンパってしまっていて、かなり動揺していた。判断力が低下して言われたことを鵜呑みにしてしまったのだ。

「本当にごめん。悪いことをしたよ」
 珍しく城ヶ崎から沈んだ声が聞こえてきた。
「反省した?」
 城ヶ崎にこんなふうに聞けるのは優羽だからだ。
「した」

 いつもの城ヶ崎なら『確認しないで騙される方もおかしいと思うだろう』くらい言いそうなのに、優羽の気持ちを推し量ってか、素直に反省している様子だ。

 そのしゅんとした様子には優羽は少しだけ胸がきゅんとする。いつもどんな時も城ヶ崎は堂々としているし、俺様だったから。

 悪いことをしたのは本当だけど、そうまでしても、優羽を手に入れたかったとも思える。徹底的に嫌いだと思えないのは高校生の頃からの城ケ崎を知っているからだ。
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