俺様弁護士は激愛を貫きとおす
 どこかいつも淡々としていてやるべきことだけをやる人だと思っていた城ケ崎がこんな風に後先考えない行動をとるなんていうことがあることが信じられない。

 けれど思い返してみると、優羽の後輩に『彼氏だ』と言ったりデートだと言ったり名前で呼ばせようとしたり、いくつもサインは出されていたのかもしれない。

「優羽……俺、優羽のことになると理性が利かない。前はここまでじゃなかったはずなんだけどな」
「何言って……」
 そう言って手を伸ばした城ヶ崎は優羽の頬に指で触れた。

 城ヶ崎の瞳はまっすぐに優羽を写していた。優羽は胸がぎゅうっとなる。切なげなのに秘めた熱さが溢れ出ていた。
 こんな瞳で見つめられたら動けなくなってしまう。

「優羽、いやなら突き飛ばせ」
「だって……」
「身を守るための行動だよ。暴行なんて言わないからさ」

 じゃあそんな突き刺すような、甘くて熱のある視線で見つめないでほしい。
 抵抗なんてできない。もちろん突き飛ばすこともできない。
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