イケメンエリート、最後の独身
「でも、私は日本を離れる事を選びました。
それが謙人さんをすごく傷つけたのかもしれません。
だけどそれ以前に、あの歓迎会以降、謙人さんは私を避けているみたいで、一度も姿を見ていません。
明智さんからアドレスと携帯番号を教えてもらったんですけど…
何だか怖くて、まだ連絡を取ってない状態です…」
こんな事、ホヨンにしか話せない。
萌絵はパソコンのキーボードの一点だけを見つめてそう言った。
「そうなんだ、ちょっと待ってて」
ホヨンはそう言うと、ポケットからスマホを取り出して窓際へ移動した。
誰かと楽しそうに話している。
萌絵はそんなホヨンを遠くから見つめながら、パソコンの電源を入れた。仕事を始める事でこのモヤモヤした気持ちを忘れたい。
すると、さっきまで遠くで電話をしていたホヨンが萌絵の近くまで来ていた。
「あ、それと謙人さん、萌絵が用事があるみたいなので代わりますね」
ホヨンはそう言うと、スマホを萌絵に渡した。
そして、あっという間にその場から離れていった。