イケメンエリート、最後の独身
「萌絵、俺のおばあちゃんが面白い事を言ってた。
たった一度切りの人生に、何ものにも代えられない一番大切なものが二つやってくる事があるって。
そんな時には一つに決めなくてもいい、二つとも自分の物にしなさいって。
神様はそんな事で怒ったりしないからって」
ホヨンは苦笑いをする。
「俺の人生の教訓として教えてくれたはずなんだけど、俺にはまだ一個も大切なものなんてやって来てない。
二個も要らないから、仕事以上に大切なものは現れないと思う。だから、もったいないから萌絵に教えとく」
そんな事を言うところがホヨンらしい。
萌絵はしっかりと心に書き留めた。謙人とのやり取りがどういう話になるか分からないけれど、悩んだ時には思い出したい。
「ホヨンさん、ありがとうございます」
萌絵はホヨンの気持ちをちゃんと受け止めた。
もう前を向いて進むしかない。その未来にたくさんの夢が詰まっている事を信じて。