イケメンエリート、最後の独身
「いつものお部屋、準備できております」
謙人やVIPの客のために必ずスペシャルな部屋を取っておくのが、超一流店の成せる業だ。
というか、それだけの金額を払うのだけれども。
萌絵はきょろきょろと珍しそうに辺りを見回している。謙人はそんな萌絵の手を引いてスタッフの後ろを付いて歩いた。
「こちらへどうぞ」
案内された部屋は、壁一面がガラスとなっていて、一瞬、外へ出てきたのか?と錯覚するくらいの不思議な空間だった。
そして、そこから見渡せる景色はこの世のものとは思えないほどに美しい。自然のままで残された森の向こうに見える大都会の夜景。
今日は夜になって冷え込んだせいか、うっすらと霧がかかっている。
「こんなアンバランスな風景、初めて見ました。
でも、すごく綺麗… ため息しかでてこない」