イケメンエリート、最後の独身
「大人の男性としての俺は、萌絵ちゃんの気持ちを尊重して見守ってあげろと考えるし、初めて恋を知った純粋な俺は、萌絵ちゃんをホヨンから奪っちゃえ、そうじゃないとお前死ぬぞと脅してくるし」
そんな子供じみた言い訳に萌絵はクスッと笑う。
「結局、答えは出なくて、しばらく様子を見ようと自分で決めた。
その間にホヨンと仲良くなれば、その時はちゃんと諦めようって。
それで、何度かホヨンに探りを入れた。何となくだけど」
萌絵は困った顔をしている。
謙人は萌絵の意見も聞きたいと思った。でも、自分の言い訳が止まらない。
「そうこうしているうちに、萌絵ちゃんのドイツ行きの話を聞いて、結局、俺は萌絵ちゃんの事を諦める運命なんだと、やっと気付いた。
萌絵ちゃんが決めた事に関しては笑顔で送り出してあげたいし、萌絵ちゃんのしようとしている事は本当に俺自身も誇りに思っている。
だから、今日、ホヨンに電話をしてもらって、本当に良かったと思ってる。自分で中々そういうタイミングを作れなかったから」