イケメンエリート、最後の独身


「謙人さん… 私…
 謙人さんとずっと会わないでいる時に、気付いたんです。
 謙人さんに会いたくてたまらないって…
 謙人さんに会いたくて、会いたくて、謙人さんの事ばかり考えてました。
 私は、謙人さんの事が好き…
 自分の気持ちにもしっかりと向き合えた…」

 萌絵は謙人から顔を離し、謙人の胸に抱きついた。

「でも…
 私、ドイツへ発つ事を選んでしまったんです。
 あの時は謙人さんに嫌われてるって思ってたし、ソフィアから提案された仕事は本当に魅力的で、すぐに行きたいって思った。
 謙人さん、私、謙人さんに抱かれたい…
 でも、二週間後にはドイツへ行ってしまう」

 謙人は萌絵の髪をそっと撫でる。

「別れがつらくなるから、ここでやめとこうか…」

 謙人の言葉に萌絵は泣き始めた。謙人の胸にしがみついて。

「でも、どんな風になっても、別れはつらい…」

 萌絵の泣き声は謙人の胸に切なく響く。


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