イケメンエリート、最後の独身
恋のキューピットは身近な人⁇
「謙人さん、私、行きたいところがあるんです」
萌絵が謙人にそう言ってきた。
その前に、謙人が萌絵を色々な場所に連れて行きたいという話の流れがある。
謙人は萌絵と二人で過ごせるたった二回の週末に、優雅で贅沢な大人のデートを考えていた。
東京湾クルージングデートだったり、東京で最高級のホテルに泊まってスパ三昧でもいい。凪が舞衣にプレゼントした、東京の夜景をヘリコプターで楽しむナイトクルージングも候補に入っていた。
そして、そのプランを提案したのだが。
「私、船酔いをしちゃうんです」とか、「ヘリコプターはちょっと怖い」とか、「最高級のホテルは必要ないです。ここで十分」とか、ちなみに“ここ”とはこのことだまマンションの事だけれど…
とにかく萌絵には欲がない。そして、贅沢というものを好まない。
それはすごくいい事で、しかし、謙人はそんな贅沢三昧のデートしかした事がない人間だ。ある意味、完全に途方に暮れていた。
そんな時に、楽しそうな顔をして萌絵がそう提案してきた。